データ品質の報告プレゼンでは、そのデータが特定の仕事に使えるか、どの問題が結果を変え得るか、使う前に何をする必要があるかを示します。指標には、確認したルールと分母を添えてください。「品質98%」という単一の点数では、予定する作業を止める問題が隠れることがあります。
この記事では、架空の連絡先データ300行から報告資料を作ります。空欄、形式の誤り、識別子の重複、古い確認日が、それぞれ別の問いに答えることを説明します。確認が済んだら、Presentiでレビュー済みの結果を編集可能なプレゼンに整理できます。計算結果と意味をテキストで渡してください。スライドの下書きが元のデータベースを検証するわけではありません。

そのデータで何をするのかを先に決める
「連絡先データの品質はよいか」では、会議の問いとして広すぎます。この例では、担当チームが各顧客アカウントの業務担当者へ、サービス更新のメールを送りたいと考えています。必要なのは、入力済みで利用できるアドレス、今も対象の役割を担う担当者、重複送信を防ぐ方法です。
用途によって報告内容が決まります。郵送先住所が完全であることは配送では重要でも、今回のメール送信には関係しないかもしれません。メール形式が正しくても、退職した人のアドレスである可能性があります。グラフの色を選ぶ前に、用途を支える確認を決めます。
英国政府のデータ品質フレームワーク(英語)は、品質を目的への適合性として捉え、完全性、一意性、一貫性、適時性、妥当性、正確性などを区別しています。問いを整理するための区分であり、すべてのデータに共通する合格点ではありません。
冒頭には範囲を短く記します。「サービス更新の案内に向け、業務担当者の連絡先を抽出した300行を確認する。確認結果は保存済みのこの時点のデータを対象とする。本報告は連絡先の利用可能性を評価するもので、メール送信を承認するものではない。」データ品質と通知の承認は、別の判断です。
結果の横にルールと分母を置く
この架空の抽出データは、アカウントIDごとに業務担当者の連絡先を1行持つ設計とします。以下の確認は、同じ元データ300行に対して行います。数値は説明用に作ったもので、Presentiや顧客の実測結果ではありません。
| 確認項目 | 今回のデータでの結果 | 分かること |
|---|---|---|
| メール欄の入力 | 300行中294行に空欄ではないメール欄がある。98%。 | 6行にアドレスがない。入力済みでも使えるアドレスとは限らない。 |
| メール形式 | 入力済み294件のうち12件が合意済みの形式ルールに不適合。282件は適合。 | 全300行のうち282行、94%が「入力済みかつ形式に適合」。 |
| アカウントIDの一意性 | 4つのIDがそれぞれ2回出現し、残り292行のIDはすべて異なる。 | 重複IDのペアに属するのは8行。異なるIDは296個で、アカウント数は300ではない。 |
| 連絡先の確認日 | 240行は例で定めた90日以内に確認済み。42行はそれ以前、18行は確認日なし。 | 60行には最近確認した根拠がない。ただし、連絡先が誤っていると証明したわけではない。 |
形式の確認には、適切な分母が2つあります。入力済みの欄だけなら282 ÷ 294で約95.9%。抽出データ全体なら282 ÷ 300で94%です。元のリストのどれだけが「入力済みで形式も適切か」を説明するなら後者を使います。入力されたアドレスの形式だけを扱うなら、前者の分母を明記します。
一意性のルールも明確にします。ここでIDの重複が問題になるのは、1アカウントにつき業務担当者の連絡先を1行持つ設計だからです。意図的に複数の連絡先を保存する別の表なら、同じIDの繰り返しが正しいこともあります。1行が何を表すかを無視した確認では、有効なデータを重複と誤判定します。
90日という期間は、この例のために選んだ仮定で、法律や業界標準ではありません。用途と連絡先の変わりやすさに合わせてデータ責任者が決めます。「以前に確認した」と「確認日がない」を分け、何が分かっているかを残しましょう。
重なりのある問題を足して、架空の総数を作らない
空欄6行と、入力済みだが形式が不正な12行は、定義上重なりません。この2つのメール確認の少なくとも一方に不適合なのは18行と計算できます。一方、重複IDの行や確認日が古い行は、どちらとも重なり得ます。
6 + 12 + 8 + 60 = 86となっても、それは問題の延べ件数であり、異なる86行が影響を受けているとは限りません。重複ペアに含まれる8行と、個別の項目確認で数えた件数も混在しています。300から86を引いて「問題のない連絡先」としてはいけません。
資料の裏には、変わらない行参照番号と確認項目ごとのフラグを持つ問題一覧を用意します。何らかの問題がある行数が必要なら、該当する行参照番号を重複なく集計します。影響するアカウント数が必要ならIDでまとめ、重複行の内容が食い違う場合の扱いを説明します。両者は別の数です。
見出しには、例えば「18行のメール欄に修正が必要。重複と担当者の確認も送信準備に影響する」と書けます。「連絡先の94%は正確」とするのは根拠を超えています。94%は入力と形式の結果であり、到達可能性、現在の担当、連絡してよいかを確認した割合ではありません。
用途に結び付けて、対応の優先順位を提案する
各結果を予定する作業に結び付けます。メールが空欄なら、その行を今回の送信先にできません。重複IDが未解決なら、二重送信や連絡先の選択の不一致が起こり得ます。90日より前の確認は、この例の方針では調査対象ですが、自動的に無効な連絡先になるわけではありません。
| 解決する作業 | 例での責任を持つ役割 | 解決と判断できる状態 |
|---|---|---|
| 未入力6件、形式不正12件 | アカウントデータの責任者と各アカウントの窓口 | 承認済みの情報源から修正アドレスを得た、または今回の用途から除外すると明示的に決めた。 |
| 重複IDの4ペア | CRMデータの管理担当者 | 元システムで残すべき担当者記録を確定し、食い違う項目とその記録を残す理由を記録した。 |
| 古い確認42件、確認日なし18件 | アカウント担当チーム | 現在の業務担当者を再確認した、または合意したルールに従って追加確認へ回した。 |
古いという理由だけで重複行を消さないでください。一方に正しいメール、他方に現在の担当者情報があるかもしれません。管理されている情報源に照らして食い違いを解決し、必要なら元データも直します。プレゼン用に書き出したファイルだけを直すと、次回も同じ問題が戻ってきます。
会議ではデータ責任者に修正作業の合意を、通知責任者に送信条件の合意を求めます。範囲と除外を組織が明示的に承認すれば、リストの一部を使える場合もありますが、本報告が代わりに決めるわけではありません。提案の横に除外・未解決の対象を示し、緑色の要約欄に隠さないようにします。
誤解を招く品質点数を使わず、5枚にまとめる
1枚目は用途と判断です。「サービス更新の案内前に、業務担当者の連絡先を確認する」と述べ、対象のデータ時点と、1行が1アカウントの業務担当者を表すルールを示します。割合を見る前に、そのデータが何をするためのものか分かるようにします。
2枚目では、メール入力率98%、入力済みかつ形式適合94%、例で定めた期間内の確認日あり80%を大きく示せます。すぐ下に294/300、282/300、240/300を置きます。説明のない3つのメーターではなく、何の割合か分かるラベルを使ってください。

3枚目では重複IDの4ペアと確認の限界、4枚目では役割ごとの修正作業、5枚目では求める判断、未解決の範囲、次のデータを確認する時期を示します。行単位の問題一覧は本編に詰め込まず、個別修正が必要な人が権限に応じて参照できるようにします。
98%、94%、80%を平均して「総合品質90.7%」を作らないでください。確認の目的が異なり、対象も重なっています。平均が高くても空欄のアドレスが利用可能になるわけではありません。組織で合成指標を使っている場合は、重み付けと用途を別に説明し、今回の作業を止める件数を見える状態に保ちます。
下書き用の説明文には、次のように指定します。「架空の300行をそのまま使ってください。入力、形式、確認時期、識別子の重複を分け、すべての分母を示してください。形式に適合することを、正確または到達可能と表現しないでください。問題件数を足して影響人数を推定しないでください。完了した修正を作らず、依頼する修正作業を示してください。」構成を整えつつ、判断はデータ責任者に残せます。
次回の報告も、同じ基準で比較する
割合の改善は、記録を直した結果かもしれませんし、難しい行を除いた結果や対象の変化かもしれません。同じ改善として扱えないため、各報告にデータの日時、抽出条件、確認ルール、除外の扱いを残します。
4ペアが本当の重複と確認され、それぞれ1行にまとめられたなら、他の変更前の行数は296です。その対象で、すべての割合を計算し直します。行が変わっていないかのように282/300を持ち越してはいけません。新しい結果を述べるには、残した行と除いた行のどちらに形式や確認時期の問題があったかも分かっている必要があります。
元の問題への対応状況は、当初の問題参照番号で別に追跡します。修正済み、今回の用途から除外、未解決、理由を伴う対象外に分けます。現在のリストの利用可能性は、新しい時点のデータに同じルールを実行して確かめます。この2つを並べることで、修正作業と分母の変化を区別できます。
次の報告では、データに何が変わり、用途に何が変わったかを述べてください。スライドをきれいにする意味があるのは、元の連絡先リストが目的に使える状態になったかを、受け手が判断できるときです。