プレゼンを短くするには、聞き手に判断してほしいことや持ち帰ってほしい考えを残し、その理解に必要のない内容を削ります。個々の文を縮める前に、話の本筋から外れる部分をまとめて見直しましょう。同じ説明を倍の速さで話すのではなく、説明の筋道そのものを短くします。

まず、自分が話せる時間を確認します。10分の枠でも質疑応答に2分を使うなら、説明は8分です。1分あたりの適切な枚数は、スライドの役割によって変わります。今回は、すでにある資料をどう絞るかを考えます。構成を整理した後は、Presentiで短くしたテキストから編集可能なプレゼンの下書きを作成することもできます。ただし、元のPPTXから残す内容を自動で選別するという意味ではありません。

例として、20分・12枚の提案資料を、8分・6枚にまとめます。提案の内容は、昼休みに行う4週間の学習企画を試験的に実施することです。以下の日程、人数、必要な工数は説明用の架空の設定で、実在する企業の実績ではありません。

12枚のスライドが6枚の構成にまとめられる様子。

短い発表で達成することを一文にする

スライドを並べ替える前に、目的を書き出します。たとえば「発表を聞いた上司が、昼休みの学習会4回と、その準備時間を承認するか判断できる状態にする」です。これが短縮版の役割です。

元の資料には、人材育成のこれまでの取り組み、複数の学習形式、年間プログラムの構想も入っています。今後は役立つかもしれませんが、今回の判断にすべてが必要とは限りません。それらを外せば、目の前の提案の根拠を弱めずに、説明の範囲を絞れます。

一方で、削ってはいけない内容も明確にします。この例で必要なのは、試行する理由、実施内容、必要な業務時間、継続の判断条件です。負担や制約を隠して提案だけを残すのは、適切な短縮ではありません。

新しい持ち時間では責任を持って判断を求められないなら、依頼の範囲を変えます。実施の承認ではなく調査の合意を求めたり、判断のための会議を別に設けたりする方法があります。時間に収めるために重要な条件を伏せないことが大切です。

各スライドを4つの扱いに分ける

資料を複製し、各スライドを「残す」「まとめる」「補足資料に移す」「削る」に分けます。作成にかかった時間ではなく、今回の説明に果たす役割で判断します。

  • 残す:提案を理解したり、その妥当性を検討したりするために必要な情報。
  • まとめる:同じ問いに答えている2枚を、よりわかりやすい1枚にできるもの。
  • 補足資料に移す:質問される可能性はあるものの、本編の説明には不要な詳細。
  • 削る:ほかの内容と重複しているものや、今回の判断に関係しなくなったもの。

学習企画の例では、アンケートの要約は残す価値があります。回答した24人のうち18人が参加に関心を示していますが、チーム全体は40人です。「回答者の関心」と「チーム全員の参加見込み」は別だとわかるようにします。質問文の全文は補足資料に移せても、回答者数とこの制約は本編に残します。

反対に、小規模な試行のために、考えられるすべての学習形式を3枚で比較する必要はありません。選んだ形式の理由と有力な代替案を1つ残し、詳細な比較は必要に応じて確認できる場所に移します。

12枚の資料を6枚に組み直す

次の対応表では、提案の要点を保ちながら、説明の順序を変えています。短縮後の各スライドは、上司が知りたいと思う問いに答える構成です。

元の内容編集の方針短縮後のスライド
1. タイトルと導入長い導入を、判断してほしい内容に置き換える。1. 4週間の学習企画を試行するか
2. 背景、3. 過去の研修活動現在の課題を説明する背景だけをまとめ、過去の経緯の詳説は削る。2. チームが学びたいこと
4. アンケートの質問、5. 回答、6. 希望テーマ有用な結果と回答者数の制約を残す。質問票とテーマ一覧は補足へ。3. 回答からわかること、わからないこと
7. 形式の選択肢、8. 詳細比較、9. 提案採用する形式、有力な代替案、小さく試す理由をまとめる。4. 短い学習会を4回行う理由
10. 必要なリソース、11. 試行日程実施内容と、それに必要な負担を一緒に示す。5. 試行に必要な時間と担当
12. 依頼と次のステップ承認事項、責任者、継続条件を残す。6. 年間計画ではなく、今回の試行を判断する
元の12枚を1、2〜3、4〜6、7〜9、10〜11、12の6群にまとめ、合計8分の説明時間を割り当てた図。
同じ問いに答えるスライドをまとめます。詳細な根拠は、本編にすべて入れず、質問に備えて残しておきます。

「まとめる」とは、元の3枚を小さくして1ページに並べることではありません。3枚目には、元のアンケートの全グラフではなく、重要な結果1つと短い注意点があれば十分かもしれません。5枚目も、カレンダー全体ではなく、4回の日程と合計の準備時間で説明できます。

移した情報は、発表者がすぐに探せる状態にします。「補足情報2」ではなく、「アンケートの質問文と回答者数」のような具体的なタイトルを付けましょう。詳しくは質疑応答用の補足スライドを整理する方法も参考になります。

短縮版にも現実的な時間配分を付ける

各スライドの役割に応じて時間を配分します。タイトルより、提案とそのトレードオフに多くの説明時間を使うのが自然です。8分の例なら、まず次の配分で声に出して試せます。

スライド時間話す内容
1. 判断事項40秒試行の提案と、承認する内容を示す。
2. 必要性80秒チームの歴史を繰り返さず、現場の学習ニーズを説明する。
3. 根拠100秒回答結果、集計の分母、まだわからないことを示す。
4. 形式100秒選んだ方法と、有力な代替案を1つ比較する。
5. 必要な負担100秒参加時間、準備、担当を説明する。
6. 依頼60秒求める承認と、試行後に判断する内容を確認する。

合計480秒、つまり8分です。残り2分は質疑応答のための時間で、結論を追加するための余白ではありません。練習で時間を超える場合は、どの部分が長くなったかを調べます。各スライドから一律に30秒ずつ削ると、すでに十分簡潔な根拠の説明まで削ってしまうおそれがあります。

削った後の話のつながりを直す

残したスライドが適切でも、話の流れが途切れることがあります。削除した事例への言及、説明していない用語、急な話題転換は、大きく短縮した後に起こりやすい問題です。

元の発表で「この5つの形式を比較した結果、昼休みの学習会を選びました」と話していたとしても、短縮版にはその比較がありません。代わりに理由を直接伝えます。「4週間の試行なら、準備の負担を抑えて関心の度合いを確かめられます。長期講座では、参加者がわからない段階でより大きな負担が生じます」という説明です。

同じように、グラフを補足資料に移したのに「先ほど見たように」を残さないようにします。必要な結果をその文の中で説明するか、参照自体を省きます。つなぎの文は、削除の跡を感じさせるものではなく、聞き手がここまでに聞いた内容と次の問いを結ぶものにします。

話す原稿も短くしましょう。スライドを減らしてもノートに20分の説明が残っていれば、時間を超える原因になります。

短い構成を形にして、通して練習する

説明の筋道が決まったら、残す事実、制約、依頼を含むテキストを用意し、Presentiで編集可能なスライドの下書きにできます。スライド作成の助けにはなりますが、聞き手の判断にどの根拠が必要かを決めるのは発表者です。

聞き手:[判断する人]。説明時間:[質疑応答を除いた分数]。判断してほしいこと・要点:[一文]。必ず残す内容:[根拠、条件、依頼]。本編の順序:[各スライドの問いと答え]。補足資料:[質問されたら示す詳細]。追加しない内容:[根拠のない結果や、今回より広い範囲の約束]。

無理のない速さで、冒頭から最後まで通して練習します。スライド間のつなぎの文も含めましょう。当日にさらに時間を短縮された場合は、その時間で扱える判断事項を伝え、用意した短い順序で説明します。大切な点を判断するための情報を残しながら、覚えることを減らせれば、短縮は成功です。