表計算のデータを経営会議用のスライドにするときは、ダッシュボードを貼り付ける前に数字を確かめます。指標の対象を定義し、元の件数から全体の値を計算し、業績そのものの変化と業務の構成比の変化を分けて考えます。そのうえで、会議で判断してほしいことを中心にスライドを組み立てます。

全社の数値と地域別の報告が食い違って見える場合には、特にこの手順が重要です。以下の例では、両地域の納期遵守率が改善しているのに、全社の率は下がります。判断を求める前に、この理由を説明する必要があります。計算と要点が固まったら、文章の構成案から編集可能なスライドの下書きを作る工程へ進めます。

表の数値から、地域別の結果と全体の結果を区別した経営会議用スライドを作る流れ
元の件数を計算し、注文構成の変化を説明してから判断用のスライドにまとめます。

1. 集計対象と納期の定義をそろえる

業務部門が四半期報告を準備しているとします。会議で答えたいのは「全社の納期遵守率が下がったのはなぜか、どこを調べるべきか」です。以下の数字は説明用に作成した例であり、実際の顧客の実績ではありません。

数えるのは、その四半期に受注した注文ではなく、約束した納期がその四半期に含まれる注文です。納期までに配送を完了したものを納期遵守とします。地域間で定義と集計の締め日を統一してください。キャンセルや納期変更の扱いが途中で変わっている場合は、比較する前に集計条件をそろえます。

四半期地域納期対象件数納期内の配送件数納期遵守率
Q2北部80076095%
Q2南部20016080%
Q3北部40038897%
Q3南部60049282%
説明用データ。Q2は第2四半期、Q3は第3四半期です。各注文は一つの地域と一つの四半期にのみ属します。

元データの表には、この4行を保存します。合計は別の計算欄に置き、グラフやピボットテーブルで地域別の行と小計を二重に数えないようにします。分析に使ったファイルの版、シート名、セル範囲、抽出日も一緒に記録しておきましょう。

2. 全社の率は元の件数から計算する

Q2の全社率は、(760 + 160) ÷ (800 + 200) = 92%です。Q3は、(388 + 492) ÷ (400 + 600) = 88%です。低下幅は4パーセントポイントであり、「4%減」ではありません。相対的な減少率にすると約4.35%です。

二つの地域の率を単純平均してはいけません。単純平均ではQ2が87.5%、Q3が89.5%となり、上昇したように見えます。この計算は、規模の小さい地域と大きい地域を同じ重みで扱う別の指標です。全社の納期遵守率では、注文1件ずつを同じ重みで数える必要があります。

上の表をA1から配置し、C列とD列に件数を入れた場合、Q2の式は=(D2+D3)/(C2+C3)です。Q3は=(D4+D5)/(C4+C5)になります。表示形式はパーセンテージにしても、計算には丸める前の値を使います。分母がゼロなら、便宜的に0%とせず「算出不可」と表示してください。

3. 地域ごとの改善と注文構成の変化を分ける

北部は95%から97%、南部は80%から82%に改善しています。一方、全注文に占める南部の割合は20%から60%に増えました。納期遵守率が低い地域の注文が、全体の中で大きな割合を占めるようになったのです。

この影響を示すために、注文構成をQ2のまま固定し、地域別の率だけをQ3に置き換えます。80% × 97% + 20% × 82% = 94%です。以前の構成比なら、改善後の地域別の率によって94%になり、実際の88%とは異なる結果になります。

順序を明示すると、変化を二段階で説明できます。まず以前の構成比のまま率を変えると92%から94%へ、次に新しい率のまま構成比を変えると94%から88%へ移ります。+2ポイントと−6ポイントの合計が、実際の−4ポイントです。この計算には「Q2の構成比にQ3の率を適用」と表示し、「Q3の予想実績」とは書かないでください。比較のための仮定であり、予測ではありません。

この算術で全社率の低下は説明できますが、南部の納期遵守率が低い原因までは分かりません。人員、注文の複雑さ、配送ルート、約束した納期の妥当性は、まだ調査項目です。原因が確定したかのように扱わないことが重要です。

4. 判断につながる5枚のスライドにまとめる

冒頭では、経営陣に何を判断してほしいのかを示します。数字の意味が分かるまで、すべてのシートを順番に説明する必要はありません。

スライド伝えること示す内容
1. 判断事項対策を決める前に、増加した南部の業務量を調べる。2週間の業務調査案、担当者、必要な情報。
2. 全社の結果納期遵守率は92%から88%に低下した。値を直接記した2本の棒と、920/1,000・880/1,000の件数。
3. 地域別の結果両地域とも2ポイント改善した。共通の目盛りを使った、北部・南部の四半期比較。
4. 注文構成南部の注文割合は20%から60%に増えた。100%積み上げ棒グラフ2本と、構成固定時の94%を示す注記。
5. 次の分析増員や追加配置の前に、遅延の傾向を調べる。配送ルート、注文種別、納期変更別の内訳の依頼と、結果を確認する日程。

棒グラフの軸はゼロから始め、四半期は色だけでなくラベルでも区別します。元の表全体と二段階の計算は付録に置きます。視覚的な傾向より正確な数値が重要なら、4行の表をそのままスライドにしても構いません。装飾的なグラフに変える必要はありません。

5. AIには説明のない表ではなく、確定した構成案を渡す

Presentiでは、文章の構成案から編集可能なスライドの下書きを作れます。この作業では、まず表計算ソフトで計算を終え、確認済みの数字と各スライドの要点を文章として渡します。Excelの数式を取り込んだり、元のブックと常時連携したりする機能を前提にした手順ではありません。

上の構成に沿って、業務報告を5枚のスライドにしてください。データは説明用です。Q2は北部760/800、南部160/200、全社920/1,000。Q3は北部388/400、南部492/600、全社880/1,000です。件数と割合は変更しないでください。地域別の率はどちらも2ポイント改善し、全社率は4ポイント低下しています。Q2の構成比にQ3の率を適用すると94%になります。この比較用の値と実際の88%を区別してください。原因、業界基準、削減額、必要人員は推測しないでください。次の提案は2週間の調査であり、実施が決まった改善策ではありません。

生成後は、まずスライドの見出しを読みます。「南部の業績が悪化した」では元データと矛盾します。「増員で92%に回復する」では、裏付けのない結果を加えてしまいます。どちらも、計算から実際に言える範囲の表現に直します。

6. 正しく更新できる形で引き渡す

編集可能なプレゼンテーションと、作成に使ったブックの版を一緒に保管します。数字を含む各スライドには、参照したシートと範囲、対象期間、指標の定義、グラフが静的かデータに接続されているかを記録してください。実際の受け渡し形式で動作を確かめていない自動更新を約束してはいけません。

次の四半期には、見出しより先に件数を更新します。全社率と比較用の値を再計算し、以前の説明が今も成り立つかを考えます。スライドのデザインはそのまま使えても、新しいデータからは別の提案が必要になることがあります。