伝わるビフォーアフター資料は、同じ対象の2つの状態を明示し、何が変わり、根拠からどこまで言えるかを説明します。範囲、縮尺、測定方法をそろえましょう。変更後の状態がまだ提案なら、達成済みの成果に見せず「提案」と呼びます。

プレゼンスライドを読みやすくするデザインの考え方(英語)は、比較にも役立ちます。明確な階層、控えめな色、変化を追える余白を使います。ただし、レイアウトだけで条件の違う状態を比較可能にはできません。まず裏付けられる主張を決め、その後に図を選びます。

現状6作業と提案4作業を対応させ、メール送信と転記の削除を示した図。

示せる変化を具体的に言葉にする

社内申請を簡単にする提案を例にします。これは架空の例で、測定済みの顧客成果ではありません。現状は次の6つの作業です。

  1. 申請者がフォームに記入する。
  2. フォームを調整担当者へメールで送る。
  3. 調整担当者が申請管理システムに転記する。
  4. 確認担当者が内容を確認する。
  5. 承認者が判断する。
  6. 申請者に結果を通知する。

提案は「管理システムへ直接申請する→内容を確認する→承認する→申請者に通知する」の4作業です。個別のメール送信と二重入力をなくします。内容確認と承認は残ります。

裏付けられる見出しは「申請案ではメールの受け渡しと二重入力をなくす」です。「33%速くなる」とは言えません。6作業が4作業になっても、各作業の所要時間はわからないからです。「手順が33%減る」でも、手順の数え方をそろえる必要があります。なくなる作業を具体的に示すほうが、理解しやすく誤解も減らせます。

2つの状態を同じ条件で比べる

図を描く前に枠組みを決めます。この例では、両方とも申請の準備から始まり、判断結果を申請者が受け取るところで終わります。通常の流れを扱い、すべての例外は含めません。承認後に依頼内容を実行する作業も対象外です。

両側の詳しさをそろえます。現状はクリック単位に分け、提案は大きな工程にまとめると、見かけの改善を作ってしまいます。同じシステム内で行うからといって、提案側から承認を省いてもいけません。

実施済みの変更なら、比較する期間や版を記します。未実施のこの提案では、「現状の流れ」「提案する流れ」とします。これだけでも、設計を検討しているのか、成果を振り返っているのかが伝わります。

他の比較でも同じです。ページの改修では同じ領域を同程度の大きさで、室内改装では似た視点で見せます。グラフは単位をそろえ、測定方法の変更を説明します。条件をそろえられない場合は、図の近くに違いを記します。

6作業と4作業の対応を示す

別々の一覧だけでは、残った作業を聴衆が探すことになります。対応表なら変化が明確です。

現状の作業提案側の対応変わること
1. フォームに記入1. 管理システムへ直接申請確認に使うシステムで申請を始める。
2. フォームをメール送信独立した作業なしメールの受け渡しをなくす。
3. 申請を転記独立した作業なし調整担当者による同じ情報のコピーが不要になる。
4. 内容を確認2. 内容を確認確認は維持する。
5. 承認3. 承認承認は維持する。
6. 申請者へ通知4. 申請者へ通知通知は維持する。

スライドでは現状を6か所に並べ、提案の直接申請を最初の位置に、残す3作業を元の対応位置に配置します。削除するメールと転記には、説明付きの空欄を残します。この隙間が違いを示します。4つの箱を行全体に均等に広げると、対応関係が見えにくくなります。

変わる申請部分にはアクセント色を1つ使い、削除部分には別の控えめな表現を使います。維持する作業の見た目は統一します。色だけでなく文字でも示せば、白黒印刷や色の見分け方が異なる人にも意味が伝わります。

各作業の対応を示し、メール受け渡しと二重入力を除き、確認・承認・通知を残す工程図。
架空の提案では2作業をなくしますが、所要時間の短縮はまだ測定していません。

設計変更と実績を分ける

工程図から言えるのは、2つの作業をなくすという設計上の主張です。性能改善の結果ではありません。裏付けのない効果を見出しにし、小さな注記で修正するのではなく、最初から区別します。

記述この例での位置付け
個別のメール送信と二重入力をなくす。提案する工程の対応図で示せる。
内容確認と承認を残す。両方の工程に示されている。
判断までの時間が短くなる。未測定。時間の比較が必要。
情報不足の申請が減る。未測定。直接申請だけでは情報の充足は保証できない。

この区別は意思決定に役立ちます。まだ存在しない成果を信じてもらわなくても、簡素化した流れの試行を承認できます。同時に、必須項目、申請権限、例外を確認担当者へ届ける方法など、決めるべき運用条件も見えます。

図を書き換えるだけで、運用の問題が解決すると示してはいけません。管理システムが直接申請に対応できなければ、最初の工程には別の実装方法が必要です。

測定の話を工程図と分ける

提案する測定項目は、工程図に詰め込まないようにします。議論が必要なら別スライドにし、簡潔に示せるなら、求める判断の隣に試行の2指標を置きます。図が示すことと、試行で確かめることを区別できるようにします。

申請の例では、最初の提出から判断が記録されるまでの経過時間を定義します。これは判断までの時間であり、記入準備の時間や通知が届くまでの遅れではありません。観察期間が終わっても未決の申請も記録します。説明なく除外すると速く見えるおそれがあります。最初の申請に、確認に必要な情報がそろっているかも記録します。

似た申請の種類を比較し、業務量の差も示します。簡単な申請が少ない週と、複雑な申請が多い繁忙週は、公平な比較ではありません。代表的な所要時間を示すなら、どう集計した値かを説明し、長くかかる申請が残っているかもわかる情報を添えます。

導入後に改善を測定できても、言い方には注意が必要です。同時期に人員や規程が変わったかもしれません。観察された差を報告することと、新しいフローだけが原因だと断定することは別です。

測定用スライドには、「試行で確かめること:情報不足の申請を増やさず、直接申請によって判断までの時間を短縮できるか」と書けます。検証可能な次の一歩であり、削減効果の約束ではありません。

短い流れで変更を説明する

この提案を話し合うなら、役割の異なる3枚を使います。

  • 現状の手間:どこでフォームを受け渡し、転記しているかを示す。架空のエラー率や不満を付け足さない。
  • 変更案:6作業から4作業への対応図を示す。削除する作業と、残す確認・承認を明記する。
  • 求める判断:直接申請を試行するかを問い、担当者と観察する2つの結果を決める。

実施・測定済みなら、3枚目に結果、日付、対象集団、残る限界を示せます。提案と結果の振り返りは、見て区別できるようにします。

1枚で比較する場合も、状態名、対応した図、具体的な見出し、根拠を示す短い一文を残します。この例なら「提案段階の業務フロー。判断までの時間と情報の充足度は未測定」です。この図の解釈を左右するため、ここに置く意味があります。

比較の要点から資料を作る

共通の開始点と終了点、現状6作業、提案4作業、正確な主張をまとめます。Presentiで構成案を編集可能なスライドの下書きにし、比較の配置を調整できます。

「現状」「提案」の表示と維持する確認手順を残し、勝手に追加された割合や時間短縮は削除します。完成した資料を見れば、何がなくなり、何が残り、何に根拠が必要かを指し示せるようにしましょう。