「Figmaで作ったスライド、PDFにしてから全部つなげて、それをPowerPointに変換すればいけるはず」
そう思って試した人は、たぶん一度は同じ壁にぶつかっています。書き出したPDFをまとめてPowerPoint形式に変換してみると、たしかにファイルは開けます。でも中身をよく見ると、テキストがぜんぶ画像になっています。1文字も直せない状態です。
それならとプラグインに切り替えてみます。今度はちゃんと編集できるファイルが出てくるものの、素材の配置が微妙にズレていたり、画像だけ抜け落ちていたりします。スライドが20枚近くあると、1枚ずつ開いて直す作業だけで半日が飛んでしまいます。
Figmaはデザインの自由度がとても高いツールです。ピクセル単位で整えられますし、コンポーネントで一括管理もできます。ただ、その完成度をそのままPowerPointに持っていこうとすると、急に厄介な話になります。これは多くのデザイナーが感じている、わりと共通の悩みだと思います。
この記事では、なぜFigmaのスライドをPPT化すると崩れやすいのか、その原因を整理したうえで、2026年時点で実際に使える方法を一通り比較します。プラグインを使う場合の具体的な手順、あらかじめ知っておくと後で楽になるコツ、そして「そもそも手直しの作業自体をなくしたい」という人向けの選択肢まで、順番に見ていきます。

なぜFigma→PPT変換はこんなに面倒なのか
変換がうまくいかない理由は、だいたいいくつかのパターンに絞られます。先に原因を知っておくと、どの方法を選ぶべきかも判断しやすくなるので、ここで整理しておきます。
テキストが画像に変わってしまう
一番よく聞くトラブルがこれです。特にオートレイアウトを使って組んだテキストは要注意で、変換の過程でビットマップ画像として書き出されることがあります。表組みや、文字数の多いスライドほどこの現象が起きやすい印象です。見た目はそのままなのに、いざ文字を直そうとしてクリックしても反応しません。地味にストレスがたまるポイントです。
FigJamから持ってきた要素が消える
FigJamで作ったフローチャートや矢印をFigmaのスライドにコピーして使っている人も多いと思いますが、これをそのままの状態で書き出すと、プレビューには映っているのに実際の出力ファイルには含まれていない、ということが起こります。対処法としては、書き出す前にひとつのグループにまとめておくことです。グルーピングしてから出力すると、画像として正しく含まれるようになります。地味な作業ですが、これを知らずに「消えた」と焦る人は結構いるはずです。
スライドの枚数が増えると順番が崩れる
数枚程度なら問題なく変換できても、10枚、20枚と増えていくにつれてページの並び順がおかしくなることがあります。インスタンスやグループの構造が複雑になるほど起きやすいようで、変換後は必ず全体の順番を確認したほうが安全です。
フォントの置き換えが必要になる
Figma上で指定していたフォントが、変換先のパソコンにインストールされていない場合は当然ながら別のフォントに置き換わります。特にKeynote形式で出力する場合はこれが目立ちやすく、変換後にフォントを手動で選び直す作業が発生します。
こうした問題は、Figmaやプラグイン側の不具合というより、「デザインツールとオフィスソフトでは文字や画像の扱い方の設計思想がそもそも違う」ことから来ています。なので、完璧に無くすというより、事前に想定しておいて被害を最小限にする、という考え方のほうが現実的です。

2026年時点で使える方法を比較する
原因がわかったところで、実際にどの方法を選べばいいのでしょうか。ここでは主な選択肢を並べて比較してみます。
| 方法 | 編集のしやすさ | コスト | 手間 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| PNG/PDFとして書き出す | 編集不可 | 無料 | 少ない | 一度きりの発表、修正予定がない資料 |
| Figma Slidesの純正pptx機能 | 条件付きで編集可能 | 無料 | 中程度 | Figma Slidesで完結する社内向け資料 |
| Figma-to-PPTなどの変換プラグイン | 編集可能(要手直し) | 無料が多い | やや多い | デザインの見た目をできるだけ崩したくない場合 |
| Pitchdeck Presentation Studioなど多機能プラグイン | 編集可能 | 無料枠+有料プラン | 中程度 | Keynoteや Google スライドなど出力先を使い分けたい場合 |
| コンテンツから直接生成するAIツール | 編集可能 | 無料枠あり | 少ない | 手直しの工程自体を減らしたい場合 |
ここで一つ触れておきたいのが、Figma Slides自体の進化です。2025年3月のアップデートで、Figma SlidesにpptxファイルのインポートとエクスポートがStandard機能として追加されました。あわせてページ番号の挿入、コンポーネント対応、動画まわりの改善なども入っています。これまでは「pptxが読み込めない」「書き出せない」という点がFigma Slidesの弱点としてよく挙げられていたので、これはかなり大きな変化だと言えます。
ただし、注意しておきたいのは「対応した」ことと「完璧に変換できる」ことは別の話だという点です。複雑なコンポーネント構造や、装飾的な要素を多く使ったデザインでは、これまで説明してきたようなテキストの画像化などの問題が起きる可能性は依然として残っています。純正機能が使えるようになったからといって、事前チェックの手間がゼロになるわけではない、というのが正直なところです。

手順解説:プラグインを使う場合の実践フロー
編集可能な状態でPowerPointに持っていきたい場合、実際にどういう流れで作業するのでしょうか。ここではプラグインを使う一般的な手順を、つまずきやすいポイントも含めて説明します。
1. 書き出したいフレームを準備する
まずは出力対象のスライドをひとつのファイルにまとめておきます。FigJamから要素を持ってきている場合は、この段階でグルーピングしておくのがポイントです。忘れると、後の工程で該当箇所だけ抜け落ちることになります。
2. プラグインを起動し、必要な設定を行う
プラグインによっては、書き出し前にアニメーションの有無、動画やGIFの埋め込み、URLリンクやスライド内リンク、発表者ノートなどを設定できるものがあります。この段階で設定しておいたものは、後から出力形式ごとにある程度反映される仕組みです。
3. 出力形式を選ぶ
PowerPoint(pptx)のほか、プラグインによってはKeynote、Google スライド、PDFなど複数の形式に対応しています。用途に応じて選びましょう。たとえば社内で共有するだけならPDF、クライアントに編集してもらいたいならpptx、といった具合です。
4. エクスポートを実行する
設定が終わったら書き出しボタンを押すだけです。ファイルサイズやスライド数によっては、生成に多少時間がかかることもあります。
5. 出力ファイルを開いて確認する
ここが一番大事な工程です。開いたら、まず全体のページ順を確認し、次にテキストがちゃんと編集可能な状態になっているかをチェックします。フォントが置き換わっている箇所があれば、この段階で手動で選び直します。特に文字数の多いスライドや、表組みを使ったスライドは念入りに見ておくと安心です。
一つ実務的なコツとして、変換を試すのは締め切り直前ではなく、余裕を持ったタイミングにしておくことをおすすめします。変換まわりのトラブルは、なぜか一番忙しいタイミングで発覚するものです。

作業前に知っておくと楽になるポイント
変換のトラブルは、Figmaでデザインを作っている段階である程度防ぐことができます。ここでは、あらかじめ意識しておくと後の手直しがぐっと減るポイントを紹介します。
画面の比率は最初に決めておく
16:9(1920×1080px)のような比率は、スライドを作り始める前に固定しておきましょう。途中で比率を変えると、それまで組んだレイアウトが軒並みズレて、結局作り直しになるケースが多いです。
繰り返し使う要素はコンポーネント化する
ヘッダー、フッター、ページ番号、区切り線など、複数のスライドで共通して使う要素はコンポーネントにしておきます。あとからブランドカラーやロゴを変更する必要が出たときも、コンポーネントを一箇所直すだけで済むので、修正の手間がまったく違います。
オートレイアウト内のテキストには注意する
前の章でも触れた通り、オートレイアウト内のテキストは画像化されやすい性質があります。変換を前提にしているスライドであれば、事前にどの部分をフラット化するか、あるいはあえて手を加えずに残すかを判断しておくとスムーズです。
提出前に一度、試しに書き出してみる
これは意外と見落とされがちですが、本番の締め切りよりだいぶ前の段階で、一度試しに変換してみることを強くおすすめします。テキストの画像化、フォントの置き換え、要素の抜け落ちなど、変換特有の問題は実際にやってみないと気づかないことが多いからです。
これらを意識しておくだけでも、変換後の手直し量はかなり減らせます。とはいえ、正直なところ、どれだけ準備をしても手直しがゼロになることはあまりありません。デザインツールとオフィスソフトの間には、どうしても越えられない溝がある、というのが実感に近いところです。
それでも手直しが面倒なら:Presenti AIという選択肢
ここまで、Figmaのデザインをできるだけ崩さずにPowerPointへ持っていく方法を見てきました。事前の準備をしっかりやれば、たしかに手直しの量は減らせます。ただそれでも、変換後に開いて確認して直す、という工程自体はどうしても残ります。
もし「そもそもこの確認・修正の作業を減らしたい」と考えているなら、少し発想を変えて、Figmaのデザインを起点にせず、内容そのものから直接スライドを組み立てる方法もあります。Presenti AI はそうしたアプローチのツールで、Wordの文章、PDFの資料、あるいは箇条書きのメモといった内容を渡すと、レイアウトが整った編集可能なプレゼンテーションを自動で組み立ててくれます。

使い方はいくつかのパターンがあります。
すでにある文書から始める場合は、Wordの文章をそのまま貼り付けたり、企画書をPDFとしてアップロードしたりするだけで、内容の構造を読み取ってスライド化してくれます。書式を整え直す必要はありません。
すでにFigmaから書き出してみたけれど、レイアウトが崩れていたり文字が編集できなかったりして困っている場合は、その崩れたpptxファイル自体をアップロードするという使い方もできます。中身の内容をもとに、レイアウトを組み直してくれる仕組みです。
社内会議の録音データやWebページのリンクなど、資料化されていない情報から直接スライドを作りたい場面でも使えます。議事録をまとめてからスライドに落とし込む、という二度手間を省ける点は、日々の業務で地味に助かる部分だと思います。
ゼロから作る場合は、テーマや対象読者、伝えたいポイントを説明するだけで、構成の整ったスライドを生成することもできます。
デザインの一貫性についても、色使いやフォント、レイアウトのスタイルをまとめてスライド全体に適用できるようになっていて、あとから1枚ずつ手直しする必要が少ない作りになっています。出力は標準的なpptx形式なので、受け取った相手はプラグインを入れなくても普通にPowerPointで開いて編集や発表ができます。
Figmaでのデザイン制作そのものが目的なら、これまで紹介してきた変換方法とその準備を丁寧にやるのが王道です。ただ、目的が「見栄えのするスライドを、なるべく早く、手直しなしで用意すること」であれば、変換の工程を丁寧にやるより、最初から内容ベースで組み立ててしまうほうが早い場合もあります。どちらが向いているかは、資料の性質と、どこまで手をかけられるかによって変わってくると思います。
まとめ
Figmaで作ったスライドをPowerPointに変換する方法は、この数年でかなり増えてきました。画像として書き出すだけの簡易な方法から、Figma Slides自体が純正でpptxに対応するようになった今の状況まで、選択肢は確実に広がっています。ただ、どの方法を選んでも、テキストの画像化やレイアウト崩れといった変換特有の癖は完全にはなくならないというのが実情です。結局のところ大事なのは、どの変換方法が一番優れているかを探すことより、自分の資料と締め切りに対して、どこまで手直しの手間を許容できるかを先に決めておくことなのかもしれません。
デザインの作り込みを重視するならFigma側でしっかり準備をして変換する道を、とにかく早く手直しなしで仕上げたいならPresenti AIのような内容ベースの生成ツールを、というふうに使い分けてみると、無駄なストレスはだいぶ減らせるはずです。